6月1日(金)


知っているようで知られていない受動喫煙のこと(後編)

環境アレルギーアドバイザー 瀬古 雅弘 


 

皆さん、こんにちは。

今日は、前回4月30日にお伝えしました受動喫煙の後編をお伝えします。

<前編より>

「受動喫煙による死亡者数は、仮定に基づいて出された推計であって、確たる科学的根拠はないよ」

「職場や家庭では、人と離れたところで喫煙しているから誰にも迷惑はかけていないよ」

といった考え方は非常に怖いことなのです。

 

下の図ご覧ください。

 

これは厚労省の公表した「喫煙の健康被害に関する検討会報告書」(平成288月)の概要を、国立がん研究センターがわかりやすく図にしたものです。

 

〇受動喫煙が原因だとする科学的根拠が十分である疾患 レベル1

※ 図中 妊婦の能動喫煙及び小児の受動喫煙はいずれもレベル1

 

〇受動喫煙が原因でないかと示唆しているが、科学的根拠は十分ではない疾患 レベル2

※図中 親の喫煙との関連

 

レベル1のように、すでに科学的な根拠が証明されているものもあります。また、レベル2についても、別の原因を取り除けないがためにレベル2になっているだけで、科学的な根拠が判明するのを、たばこを吸いながら待っていたら、たいへん危険です。

 

 

 

職場の同僚や家族から離れてたばこを吸っていたとしても、目に見えない煙はドアや窓のわずかなすき間から入りますし、仮に入らなかったとしても、喫煙者の衣服や髪の毛、呼気に残っているガス状の有害成分を吸うことは、残留受動喫煙といって、周りの人がそれを吸うことで、影響を受けることがわかっています。

 

風のない状態で、一人の喫煙者によるたばこの煙の到達範囲は直径14メートルの円周内まで拡がり、複数の喫煙者が同時に喫煙する場合は、この直径が23倍以上に拡がるという報告もあります。※1

 

特に怖いのは胎児や乳幼児への影響です。

 

われわれ大人であれば、たばこの影響のない場所に移動したりできますが、胎児や乳幼児は「けむりがくさい」と言うこともできず、ひたすら煙を吸い、解毒作用の未熟な体内に蓄積するしかありません。一生その後遺症に苦しむことになり、ひどいときには乳幼児突然死症候群で亡くなる場合もあります。

 

 

 

窓を開けて、乳幼児のとなりで喫煙しながら運転している母親を見かけますが、それは殺人行為です、と言い切るのは言い過ぎでしょうか。

 

 

 

実は、私は、昼夜を徹して働くための興奮剤として喫煙している両親の中で生まれ、育っています。部屋の中や車の中には、常に青いけむりが漂っていた記憶があります。

 

 

 

例にもれず、私は幼少期に気管支炎を患い、心臓の鼓動が乱れて呼吸がきちんとできず、苦しさでうずくまるときがしばしばありました。その度ごとに近くの大きな病院で検査を受けていました。大好きな運動会に参加することができない時期もありました。

 

 

 

いまだにたばこのにおいがすると、口の中が異常に苦くなり、じわーと脂汗が出てきて、呼吸が浅くなり苦しくなってきます。

 

レベル2の「呼吸機能低下」なんでしょうね。

 

環境アレルギーアドバイザーの資格を取るために勉強しましたが、その中で、自分の症状が両親のたばこが原因であることがわかりました。

 

 

 

両親は幸いなことに、ふたりとも“がん”を発症しました。それがもとでたばこをやめることができたのですから。ただ、体の一部を引き換えにして、です。現在は再発もなく過ごしていますが、食事やトイレではたいへん苦労をしています。ここ4、5年の出来事です。

 

 

 

私の両親のように、命と引き換えになってはじめてたばこをやめるというのでは遅すぎます。

 

そして、私のように生まれる前から煙を体内に蓄積するような幼少期を、こどもたちに味わわせて健康を奪ってはいけません。

 

現在は、禁煙外来などが多く存在し、かなりたばこをやめやすい環境にあります。

 

 

 

もし、家族や同僚でたばこを吸っている人がいたら、その人はもちろんのこと、周りの人が手遅れになる前にたばこをやめるように声をかけてください。

 

 ※1 「屋外における受動喫煙防止に関する日本禁煙学会の見解と提言」(2006.03.25)より