4月30日(月)


知っているようで知られていない受動喫煙のこと(前編)

  環境アレルギーアドバイザー 瀬古 雅弘


 

問題です。

 

火をつけることで約70種類以上の発がん物質を含む5,300種類以上の化学物質が発生するのに、それを規制する法律もなく、嗜好品として口にでき、コンビニやスーパーで普通に売られているものは何でしょう?

答え たばこです。

 

たばこの煙の中には、ニコチン、タール、一酸化炭素をはじめ、ペンキ除去剤に使われるアセトンや、アリの駆除剤に含まれているヒ素、車のバッテリーに使われているカドミウムなど、体に大変有害な物質が5,300種類以上も含まれています。

 

“体には良くないものと知っていても、ついついたばこを吸ってしまう。”

 

喫煙者本人がそれを知っていてたばこを吸い、後に害を被ったとしても納得はいくでしょう。

 

しかし、それが、喫煙者以外の人がたばこの煙にさらされる、いわゆる受動喫煙が原因で害を被るとなれば話は変わります。しかも、喫煙者本人がフィルターを通して吸っているたばこの煙(主流煙)よりも、喫煙者の持っているたばこから出る煙(副流煙)の方がより多くの有害物質を含むとなれば、なおさらです。

 

次の図をごらんいただくと、それがおわかりかと思います。

 

世界保健機構(WHO)が20175月に公表した報告書※1によると、たばこが原因で世界では毎年700万人が亡くなっており、そのうち89万人が受動喫煙で亡くなっています。日本でも、厚生労働省の研究班が発表した推計※2によると、たばこが原因で毎年12万人が亡くなっており、

 

1万5千人が受動喫煙で亡くなっているのです。

 

日本の人口が現在12,600万人として、たばこが原因で亡くなるのは、0.1%に満たず、受動喫煙で亡くなるのは、0.01%程度と確率的にはごくわずかな人数です。

 

ただ、交通事故で亡くなった人の数が、2016年が約3,900人、2017年が約3,700人であるのと比較すると、数の多さに驚きませんか。

 

「あくまでそれは仮定に基づいて出された推計であって、確たる科学的な根拠はないよ。」

 

「職場では分煙室で吸っているし、家庭では夏場はベランダ、冬場は換気扇の下で吸っているから誰にも迷惑はかけていないよ。」

 

愛煙家の方のそんな声が聞こえてきそうです。

 

 

 

しかし、こういった考え方が実は非常に怖いことなのです。

※1、※2の注釈(出典)

1 Huffpost Japan 2017.06.01 「WHOが進める世界禁煙デーとは たばこ受動喫煙の死者『毎年89万人』」より

 

2 Medical Note News 「日本の喫煙状況と年間の死亡数-職場の喫煙所が新たな喫煙者を生むことも」(2017.12.13)より

 


この続きは次回をお楽しみくださいませ。